監査着目点 検証完了条件
以下は、受注前 → 作業開始 → 変更契約 → 請求 → 一時的なサービス先行 → 請求長期滞留
という一連のライフサイクルについて、
- 監査着目点
- あるべき姿
- 監査検証目標
- 監査手続
- 未達時に想定されるリスク事象
- 被監査部門向けヒアリングシート(ナラティブ形式・段階別)
- 追加資料依頼(既入手資料/追加要求資料の明示)
を 内部監査実務でそのまま使える体裁で整理したものです。
(質問は誘導・Yes/No ではなく、説明・描述を求める形式にしています)
Ⅰ.受注前(応札判断・契約前段階)
1. 監査着目点
- 将来の請求遅延・回収困難リスクが、受注前にリスクとして認識・検討されているか
- 応札判断が形式的でなく、条件付き・見送り等の判断に実際につながっているか
2. あるべき姿
- 応札可否検討の場で、支払条件・顧客承認能力・変更契約発生可能性が明示的に議論されている
- 「難しいと分かっていた案件」であることが、後工程(RMS・売掛管理)に引き継がれる
3. 監査検証目標
- 応札可否判断が「価格・技術」だけでなく、請求・回収を含む事業リスク判断として行われていること
4. 監査手続
- 応札可否検討会議資料、入札対応記録の閲覧
- 高リスク案件と低リスク案件の判断理由の比較
- RMS初期評価との整合性確認
5. 未達時に想定されるリスク事象
- 受注前から請求困難が予見できた案件が、無対策で受注される
- 後段で「想定外」「現場の問題」として扱われる
6. ヒアリングシート(ナラティブ)
Q1
当該案件について、応札判断に至るまでに、
「将来、請求や回収が困難になる可能性」について、
どのような懸念が想定され、どのように議論されましたか。Q2
応札を決定するに当たり、条件修正や留意事項(例:契約条件、作業範囲、支払条件)として
内部で共有された事項があれば具体的に説明してください。
7. 資料
- ✅(既入手)入札対応記録、応札可否検討会議資料
- ➕(追加依頼)応札時の内部メモ、条件付判断があった場合の社内共有資料
Ⅱ.作業開始(契約締結・受注計上)
1. 監査着目点
- 作業開始が契約・顧客意思確認に基づいて行われているか
- 「事実上の作業開始」が、受注計上・請求根拠と乖離していないか
2. あるべき姿
- 作業開始の根拠が、契約書/MoM/LOI 等で外形的に説明できる
- 例外的対応は、組織として把握・位置づけされている
3. 監査検証目標
- 作業開始と受注計上の根拠が明確に整理・説明可能であること
4. 監査手続
- 契約書・MoM・LOI 等の内容確認
- 作業開始日と受注計上タイミングの突合
- 例外的早期着手案件の抽出
5. 未達時に想定されるリスク事象
- 「作業はしたが請求根拠が弱い」状態が発生
- 見積債権の長期滞留化
6. ヒアリングシート
Q1
作業開始にあたり、顧客の意思確認はどの文書・事実を根拠として行われましたか。Q2
契約締結前または条件未確定の段階で作業を開始した場合、
それはどのような判断・合意のもとで行われ、社内ではどのように共有されていましたか。
7. 資料
- ✅(既入手)契約書、受注計上承認記録
- ➕(追加依頼)作業開始判断に関する社内メール・議事メモ
Ⅲ.変更契約
1. 監査着目点
- 作業実態と契約条件の乖離が、適時是正されているか
- 変更が「未契約のまま」積み上がっていないか
2. あるべき姿
- 変更は原則として契約・承認文書に反映
- 困難な場合も、代替証憑により説明可能
3. 監査検証目標
- 契約と実態の乖離が、放置されず管理されていること
4. 監査手続
- 変更契約一覧の確認
- MoM・打合簿と実態の突合
- 変更未契約期間の把握
5. リスク事象
- 変更作業が請求・回収不能につながる
- サービス先行の常態化
6. ヒアリングシート
Q1
契約締結後に発生した主な変更事項と、それらが正式な契約または承認文書に反映された時期について説明してください。Q2
変更契約の締結が遅れた、あるいは締結されていない事項がある場合、
それをどのように管理・把握してきましたか。
7. 資料
- ✅(既入手)変更契約書、受注修正承認記録
- ➕(追加依頼)変更契約未締結案件リスト、打合簿一式
Ⅳ.請求
1. 監査着目点
- 請求が正当な契約・実態に基づき行われているか
- 例外的な請求プロセスが統制されているか
2. あるべき姿
- 原則どおり財務・管理部主導
- 例外も可視化・承認済
3. 監査検証目標
- 請求プロセスの正当性・完全性が担保されていること
4. リスク事象
- 誤請求・不正請求による顧客不信
- 請求自体が否認される
5. ヒアリングシート
Q1
請求書作成・発行のプロセスについて、原則および当該案件における実際の流れを説明してください。Q2
請求に際し、顧客から指摘・差戻し・長期未承認となった事項があれば、その内容と対応を教えてください。
6. 資料
- ✅(既入手)請求書控、請求細則
- ➕(追加依頼)請求差戻し・未承認一覧
Ⅴ.一時的なサービス先行・請求長期滞留
1. 監査着目点
- サービス先行が例外として管理されているか
- 滞留が経営レベルに可視化されているか
2. あるべき姿
- RMS・売掛債権管理規程に基づき段階的にエスカレーション
- 現場抱え込みになっていない
3. 監査検証目標
- 滞留が放置されず、組織的な是正判断につながっていること
4. リスク事象
- 貸倒損失・経営判断遅延
- 同様案件の再発
5. ヒアリングシート
Q1
サービス先行または請求長期滞留の状況が生じた際、
それはいつ、誰により、どのような形で組織内に共有されましたか。Q2
回収が困難と認識された時点で、どのような対応案が検討され、
最終的にどのような判断がなされたのかを説明してください。
6. 資料
- ✅(既入手)売掛債権管理資料、RMS資料
- ➕(追加依頼)RM会議議事録、取締役会報告資料
最後に(監査全体の軸)
本監査は「なぜ回収できなかったか」ではなく、
「回収できなくなる構造を、どの段階でどう扱ったか」
を確認することを目的とする。
必要であれば、
- ✅ Word形式ヒアリングシート
- ✅ Excel形式・監査着目点一覧表
- ✅ 監査指摘例(軽微/重要)
まで即時展開できます。
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